開催レポート:全太陽光発電所適正化に向けた見学ツアー&セミナー@福山


2019年7月12日

2019年6月29日、広島県福山市において「全太陽光発電所健全化ツアー」をASPEn主催のイベントとして開催いたしました。当日の現地視察ツアー並びにセミナーの様子をレポートします。

1.ツアー開催趣旨

再生可能エネルギーの普及拡大が進み新たなエネルギー社会への転換が図られる中で、太陽光発電の主力電源化に向けて社会インフラとしての責任を果たしていくために、FIT後も継続できる長期安定した発電事業の運営が求められています。このような背景の中で、まずは発電事業者団体として太陽光発電事業の自主的な健全化を促すために、今回のツアーを企画しました。

2.現地視察ツアー

今回の現地視察の対象地は広島県東広島市で、山間の農村風景の中にあちらこちらで低圧規模の太陽光発電所が稼働しています。最初に視察した発電所では蔦類が繁茂しており、フェンスや構内柱・アレイを覆い尽くしていました。いずれも、フェンスは敷設されていますが法定標識はなく、所有者の連絡先は分かりません。売電用の計量器は動いており、少なくとも発電は続いていることが確認できます。

その近くには、昨年の西日本豪雨の際に起きたと思われる土砂崩れによって、発電所構内に土砂が流れ込んだのかアレイの基礎が埋まっているものがありました。区画の一部だけにフェンスが設置されている状態で、土砂が流れ込んだと思われる方向にはフェンスがなく、土砂崩れで破損・撤去されたままの可能性もあります。

更に別の場所では、住宅地の中に大きな追尾式の太陽光発電所がありました。周囲にフェンス等はなく、側溝も簡単に乗り越えられる程度で、柵塀の設置ルールが守られていません。敷地外から見えやすい場所に法定標識もありませんでした。

総勢20名の参加者と共に行ったこの現地視察ツアーでは、参加した会員から発電所の管理状況の不十分さを目の当たりにした驚きや、山間の土砂崩れの影響が下流にある発電所に及ぶ可能性を想定した対策の必要性などが聞かれました。前回の宮城県でのツアーの際でもそうでしたが、住宅地の中に管理が不十分な低圧規模の太陽光発電所が散在している状況は、安全管理の面から早急な改善が必要です。しかし、そういった管理が不十分な設備は多くの場合法定標識の掲出がないため、所有者に直接連絡を取ることが難しいことが大きな問題です。

3.セミナー

現地視察後は、福山市商工会議所の会議室でセミナーを開催しました。まずは専務理事の馬上から、日本国内の電源別発電電力量構成の推移や、石炭・LNGといった化石燃料の価格推移から、燃料の相場変動の大きい火力発電に発電電力量の多くを頼る現状では、そもそも電気料金の安定は見込めないことの指摘がありました。また、「電気料金の値上がりは国内産業の国際競争力を低下させる」という経済界の主張に対して、貿易統計を見ると日本の輸出は好調であり、国際貿易の経常収支は2018年度に過去最高の黒字となっていること、半導体製品等を含めた対米・対中輸出も増え続けており、原発事故以降の電気料金上昇や再エネ賦課金増加の中にあっても、日本製品の国際競争力は低下していないことがデータで示されました。その上で、6月に閣議決定された政府の成長戦略やパリ協定における再生可能エネルギーの位置づけ、特に営農型太陽光発電が更に重点的な項目として盛り込まれたことなどの報告がありました。

続いて代表理事の谷口からは、低圧太陽光発電事業に対する経済産業省の厳しい目線と、規制の現状、FIT14円における太陽光発電事業に対する報告がありました。「低圧の太陽光発電の半分を退場させる」という経済産業省の発言がある一方で、国内に50万件以上ある設備を全て行政が調査することは事実上不可能であり、それに対して大雑把な規制の網がかけられることが大きな懸念であるとし、発電事業者による自主的な健全化が必要であることを訴えました。質疑応答でも会員からは多くの質問があがりましたが、実際に不適切な発電所を見た後ということで、どのように健全化を図ればいいのか、自身が保有する発電所の運営における疑問点などが投げかけられていました。

4.今後の展開

前回の宮城県でのツアーに引き続き、今回の福山ツアーでも各地の不適切な太陽光発電所事例を目の当たりにし、太陽光発電事業の早期の健全化に向けた取り組みが必要であることを改めて痛感しました。ASPEnでは、今後も各地で同様のツアーやセミナーを開催し、太陽光発電事業の健全化に向けた取り組みを行って参ります。