ご挨拶

2012年7月に再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度(FIT)が始まって以降、我が国の太陽光発電による年間総発電量は国内電力需要の5%を越え、もはや社会に欠かすことの出来ない電源となりました。エネルギー基本計画においても、2030年には風力発電とともに太陽光発電を主力電源化することが明記され、一見すると太陽光発電の将来は安泰であるように見えます。しかし、我が国の再生可能エネルギー導入目標は依然として他国と比べると低いままであり、 何より、2030年の再生可能エネルギー導入目標が22〜24%となっていることは、世界の再生可能エネルギー技術を引っ張ってきた国としては寂しい限りです。
太陽光発電の本格的な導入が進まない理由の一つとして、市民の理解を得られていない事が挙げられるでしょう。
社会が変革するときに摩擦が生まれるのは、いつの時代も起こりえることです。しかし、FITを通じて全ての消費者に負担を強いている以上、私たち太陽光発電事業者はその意義をしっかりと伝えていく義務があります。昨今、一部の無責任な事業者が設置した発電所によって、市民生活の安全や快適性が損なわれていることも事実です。私たち太陽光発電事業者は、新しいインフラの担い手として自主的に啓蒙活動に努め、太陽光発電所の責任ある設置と運営をしていかなければなりません。世界の太陽光発電業界は、長年にわたり太陽光パネルの技術開発へと注力し、その実用化・商用化を果たすという功績を立てた、日本の偉大なるパネルメーカー各社によって牽引されてきました。
しかし、太陽光発電事業者が10万社を越えた現在、FITの制度設計見直しや系統連系問題など再生可能エネルギー発電事業を取り巻く諸問題に対し、発電事業者自身もしっかりと意見を集約して、それを社会に発信することも必要になっていると考え、このたび「太陽光発電事業者連盟」を設立することにいたしました。
かつて、第二次世界大戦において石油資源の確保を目指した我が国は、310万人の尊い命と、現在価値に換算して4000兆円の戦費を失いました。あの悲劇から70年以上が経ちましたが、未だに我が国のエネルギー自給率は7%ほどにとどまります。1970年代のオイルショック後からは、1兆円の予算をかけて再生可能エネルギーの技術開発に励んできたものの、まだまだ安心して暮らせる国家体制は築けていません。
太陽光発電を中心とする再生可能エネルギーを推進する事は、確かに一時的な電力価格の上昇につながります。しかし、長期的に見れば原油などの化石燃料資源の購入のために、国外へと日々流れ出ていく年間8兆円もの資金を国内に還流する事によって、経済的にも政治的にも安定した国家の形成に繋がります。
国家のため、地球のため、そして何より子供たちの明るい未来のため。 太陽光発電のさらなる推進に向けて、皆様のご協力をお願いいたします。

一般社団法人 太陽光発電事業者連盟
代表理事 谷口洋和

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