【コラム】制度解説 発電側基本料金

  • 2021/1/6

【制度の概要】
 現在は託送料金として、小売電気事業者が需要家から回収している送配電網の維持と運用に必要なコストの一部を、発電側の事業者に対して課金する仕組み。発電側課金(Generation-charge)とも。

【制度の背景】
 送配電網にかかるコストのうち、固定費が8割を占め変動費は2割とされている。一方で、現在の電気料金制度では基本料金としてそのうちの約3割、従量料金で約7割を回収する形になっているため、電力需要が減少すると従量料金も減り、コスト回収不足に陥る可能性があると考えられた。

“送配電関連設備からの受益に応じた費用負担を実現するとともに、将来にわたって安定的に送配電関連設備を維持・運用していくため、系統利用者である発電側に対し、送配電関連費用のうち一部の固定費について新たに負担を求める。”
送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討ワーキング・グループ 中間とりまとめ p.6(2018年6月)

【制度の対象】
 原則として系統を利用している全ての発電所が対象となるが、小規模設備のうち10kW未満のものについては当面課金しないとされている。

【導入時期】
 2023年度を目処

【負担金額】
 kWベースの課金となっており、年間1,800円/kW程度の負担が想定されている。事業用太陽光発電設備の設備利用率ベースで換算すると、設備利用率14%の場合は1.5円/kWh、設備利用率17%の場合は1.2円/kWhとなる。

“発電側基本料金の導入当初においては、送配電関連費用のうち、発電側・需要側の両方で等しく受益していると考えられる上位系統に係る費用(送電費及び受電用変電費)のうち固定費について、発電側及び需要側の両方で等しく負担することとなるよう、発電側の負担割合を定めることとする。”
送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討ワーキング・グループ 中間とりまとめ p.6(2018年6月)

【調整措置】
 発電側基本料金は、現行の託送料金として回収されている費用を発電事業者に負担させる仕組みであり、送配電網の維持・運用に必要なコスト全体は変化しない。従って、現在は小売電気事業者が負担している費用の一部が軽減されることになる。具体的には0.5円/kWhに相当するとされ、経済産業省はこの軽減分は小売電気事業者の利益とすることなく、発電事業者に還元すべきとしている。 
 そのため、この還元が適切に行われれば太陽光発電では発電側基本料金が1.0円/kWh以下となるほか、再生可能エネルギー発電のうちバイオマス・中小水力・地熱では実質的に負担はなくなる。

最終更新:2021/01/08
※本コラムの内容は最終更新時点の情報に基づいています。

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